2016年6月29日水曜日

Invisalign(マウスピース矯正法)を用いて思うこと

マウスピース矯正法を導入し、1年が経過しました。
ここではその思う処を書きたいと思います。

私が用いているのはマウスピース法のひとつであるInvisalignです。

これは従来の矯正法の固定式ワイヤーと異なり、
取り外し可能な透明なマウスピースを装着する方法で、
とくに大人の患者さんに用いています。

患者さんにとって人から気づかれず、
ワイヤーの煩わしさや虫歯になりにくいなどの利点があります。

 しかし矯正専門医として私が30年経験してきた
従来の方法と大きく異なる部分がありました。


 Invisalignは患者さんの検査資料を基にアメリカのマウスピース技工所によって
歯の移動計画が提案されます(当然、治療計画を決定するのはドクターです)。

良い意味で私の想定していた移動法と全く違う(ある意味こちらが気づかされるような)
計画を提案してくることがあります。

あるいは非現実的な方法を提案してくることもあります

実際に不可能な方法を採用してしまうと当然、患者さんの治療は成功しません。

これを見極めるのはドクターの知識と経験です。

また治療途中において治療計画のように進まない場合があります。
その時のリカバリーできる知識、技術が必要です。

部分的にワイヤー、口腔内ゴムを加えたり、
あるいは再度治療計画を作成し直したりする場合もあり、かなり応用が必要です。


 幸いInvisalignを手がけるアライン社では定期的にセミナーを開催し、
ドクターの知識を積み上げていく手助けをしてくれています。
私は数ヶ月に一度この研修会に出席していますが、
参加する度に確実にInvisalignに対する理解度が増しているのを実感します。

経験豊富なドクターからの情報はとても大切です。

それにより治療技術の向上に通じ、用いる症例の範囲が徐々に拡大していきます。


私の中でInvisalignはただ患者さんに使用してもらうだけの簡単な
“魔法の方法ではない”という認識が広がっています。

2016年6月22日水曜日

学生に講義してきました

先日、我が母校である日本歯科大学にて4年生の授業を担当してきました。

私の専門である歯科矯正学の中でテーマは
“大人の矯正治療・他科との協力が必要な矯正治療”です。

見えにくい、見えない、取り外し可能な矯正法の発展により
矯正治療は子供だけでなく、大人の患者さんの需要が増えています。

大人のお口の中は子供に対するのと異なった配慮が必要になります。

例えば過去の虫歯治療による歯の大きさや形の違い、
歯周病による歯の周りの骨、歯グキの問題、顎関節の問題など様々です。

それらの問題を抱えている患者さんには歯並びを治療するにあたり、
矯正医だけでは対処しきれない場合があり、
他科(口腔外科、歯周病専門医、一般歯科医など)のドクターの協力が
不可欠になります。

 それらの諸問題を解決し治療を行った症例を通して学生諸君に講義をしました。

少しはわかってくれたかなぁ~?



慣れない80分の授業、疲れました。