2012年12月15日土曜日

大学院で講義をしました

先日、日本歯科大学矯正学教室大学院にて臨床講義を行ってきました。

私は兼任講師として大学に在籍しているため、学生、大学院生や病院のレジデントに講義を行っています。

今回のテーマは"より効果的な子供に対する矯正治療"について過去の文献データや自分の経験を交えて話しました。

その中で歯並びや咬み合せの種類によって最適な治療開始時期が違うこと、特に早期に治療を開始するべき咬み合せの鑑別法などを中心に話しました。受け口の場合には骨格的にも影響するため、なるべく早く治療を開始する必要があります。

まだ臨床経験も浅い20代の若いドクター達は、ベテラン?の私の治療法を熱心に聞いてくれました。

2012年11月14日水曜日

スポーツ用マウスガードの作製

先日、高校ラグビー選手権東京都決勝戦を秩父宮ラグビー場へ観戦に行きました。

私もラグビー経験者ですが、さすがにハイレベルの試合に感心し、また、選手達の身体の大きさに圧倒されました。

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さて、中学、高校ラグビーの試合にはマウスガードの装着が義務付けられてきます。
歯や歯ぐきを守ることは当然ですが、脳震盪の予防、運動能力の向上にも効果があります。

当医院では関東ラグビーフットボール協会の講習を受け、それに基づくマウスガードの作製を行っています。
��ラグビー以外のスポーツの方も多数作製しています)
患者さんのお口の型取りを行い、カスタムメードのマウスガードですので、違和感も少なく、そのまま会話ができます。


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口の中にフィットしたマウスガードを装着し、パフォーマンスの向上に繋げてください。

"患者さんの疑問に答える"本の紹介

"歯の疑問に名歯科医が答えます!"という題名の本が出版されました。

各分野専門の歯科医師が患者さんの疑問にお答えする本で、インプラント、入れ歯、歯周病、ホワイトニングなど様々な分野を網羅しています。
私も子供の矯正歯科分野で執筆しています。


ご興味のある方は書店で手に取って見てください。


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2012年11月6日火曜日

睡眠講座に参加しました

先日、慈恵医科大学内で行われた睡眠講座に参加してきました。

睡眠はヒトの身体や心の健康に深い関わりがあり、様々な病気に関連しています。社会生活を営む上で子供から大人、高齢者までとても大切な人生の一部だということを再認識しました。
睡眠は周りの環境に大きく左右されることを証明する実験についてお話しします。


実験

中学生10人を5人づつ、A班、 B班の2つのグループに分け、夜の9時から10時まで違う部屋で同じ内容の工作をし、その後は同じ部屋で就寝しました。
次の朝、A班の人達は目覚めが悪く、疲れが残っていました。一方、B班では目覚めは爽快で、疲れを訴える人はいませんでした。
2つのグループの目覚めの違いは睡眠の質が異なることが理由です。
AとB班の違いは夜、工作をした部屋の照明の明るさに違いがありました。A班の部屋はとても明るい照明で、B班の部屋は薄暗い照明に抑えてありました。

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我々にとってとても大切な睡眠についてさらに知りたくなりました。

2012年10月10日水曜日

目黒区歯科医師会での講演

先日、目黒区歯科医師会学術講演会にて講演を行ってきました。

テーマは"子供の矯正治療開始時"について矯正専門医の立場から一般の歯科医師向けにお話ししました。

たくさんの質問を頂き、有意義な講演だったと好評を頂きました。


よく親御さんから"子どもの矯正治療はいつ始めたら良いのか"という質問を受けます。
一般的に小学校2年生、7歳頃、矯正専門医に一度歯並びの状態を診てもらうことが安心かと思います。

この頃は上下の前歯4本が萌えて来る時期であり、将来の大人の歯並びの予想が可能です。
しかし、受け口の場合にはなるべく早期の治療をお勧めします。
理由として、受け口は顔のバランスにも影響する場合があるからです。


学校歯科健診では"歯並びや咬み合せに問題があります"という通知は出ますが、どこが悪いのかは分かりません。
ご心配の場合には、かかりつけの歯科医院あるいは矯正歯科専門医院にご相談下さい。



2012年8月2日木曜日

日本成人矯正歯科学会での講演

7月1, 2日に第20回日本成人矯正歯科学会記念大会が神保町の学士会館で開催され、1時間の依頼講演を行ってきました。

"矯正歯科臨床における歯周病基礎知識"というタイトルで大人の患者さんを治療する際、元々歯周病に罹っている人、あるいは矯正治療途中で歯周病にならないように配慮しながら綺麗な歯並びを手に入れましょう、というテーマです。

約20年前、大学病院勤務時代に大人の患者さんに対する矯正治療を行うに当って歯周病
��古い言い方では歯槽膿漏)の知識は必要不可欠と感じ、病院を退職してアメリカの歯周病治療の世界に飛び込みました。その時に得た知識と今までの臨床経験を融合し、お話ししました。
非常にたくさんのドクターが熱心に聴いてくださり、感激です。



2012年7月10日火曜日

睡眠学会に出席しました。

先日、横浜で開催された日本睡眠学会に出席してきました。

この学会は様々な科の医師や歯科医師の広い分野のドクターが参加するユニークな学会です。
主に精神科、耳鼻科、小児科、睡眠科(最近は睡眠専門医院もあります)や歯科のドクターが発表していました。

なぜ、矯正歯科の私がこの学会に参加するのか疑問に思われるかもしれません。
当サイトの"院長レポート"でもご紹介しているように"睡眠と歯並び、咬み合せ"は深い関係があります。

※【院長レポート】イビキと歯並びについての研究レポ
レポート1:イビキと健康は関係ある!?
レポート2:イビキと歯並び


矯正治療により適切な睡眠を促すことにも配慮をしたいと思いながら診療に当っています。
"歯並びを綺麗にする矯正治療"に留まらずに"綺麗かつ健康に役立つ矯正治療"を目指して行きたいと再確認した学会でした。




2012年7月4日水曜日

"学生の講義"をした後で...

先日、母校である日本歯科大学歯学部4年生に歯科矯正学の講義を行いました。

歯学部の場合6年間の課程を経て卒業ですが、臨床歯学の授業が本格的に始まるのは4年生からです。歯科矯正学という分野は今年から学び始めた学問ですので、彼らにとっては"何がわからないのかもわからない状態"ではないでしょうか?

約30年前、自分が学生だった頃を思い返してみました。"どんな先生の講義が理解しやすく、興味を持って聞けただろうか?"枠の太いメガネを掛けたある口腔外科の教授が頭に浮かんできました。その先生が黒板に書かれる解剖の図は単純明快で、複雑な口腔内組織の発生過程を簡潔明快に説明され、我々学生の頭にダイレクトに入って思わず引き込まれて行きました。その頃"何てこの先生の授業は分かりやすいのだろう"と感じていましたし、今でもこの教授の授業風景だけは記憶に残っています。教室の後ろでは若い医局員達が直立不動で控えていました。

人にモノを教える際には教える内容を完全に自分のモノにし、"自分の言葉"で伝えて行かなければ受け手に響く内容にはならないと思います。

学生講義を担当した後に頭に浮かんだことを書きました。

学校の先生は難しい!

2012年5月24日木曜日

新しい"スプレー式ホワイトニング法"

先日、全く新しいホームホワイトニング法の講習会に参加しました。

どこか新しいのか? 簡単に早くホワイトニングが可能になった!

従来の方法は
まず自分の歯型を採ってから個人用のトレーを作製し、それに薬剤を塗布してトレーを装着する方法でした。

新しい方法は
お口の中に直接ホワイトニング剤を噴射する方法です。患者さんにとって来院したその日からホワイトニングがスタートできる簡単な方法です。
また、ご家庭でも外出先でもホワイトニングが継続できます。

本院でもこの方法を採用する予定です。



2012年4月21日土曜日

大学病院で講義をして来ました

先週、私の出身である日本歯科大学付属病院矯正科にて
医局の先生方に一時間の講義を行ってきました。

テーマは"子供の反対咬合に対する矯正治療"
スライドを使って私の治療に対する考えや患者さんに対する説明の仕方など、
25年の経験を元に話してきました。

さて、医局の若いドクター達にとって有意義な内容だったでしょうか?!

2012年4月13日金曜日

大学院新入生歓迎会に出席して...

私が講師を務めている日本歯科大学矯正学教室の新しい大学院生の歓迎会が行われました。
私も新入生を迎える側として出席しました。

歯学部の場合、医学部と同様、6年間の大学生活に加え、
4年間の大学院において専門的な技術、研究を経て博士号の取得となります。

私も20年前に大学院課程を修了した時のことを久々に思い出していました。

新入生の挨拶で思ったことは"僕たちの時代よりも考え方がしっかりしていて、
目的が明確だなぁ"と感心し、頼もしくも思えた後輩達でした。



2012年3月27日火曜日

歯と健康のための豆知識その8 舌の位置と歯並び-3

舌の位置を治す方法 (筋機能療法)
舌の位置が下方に下がっているために歯並びが悪くなることを2回に渡ってお話ししてきました。そのような場合には矯正装置に加えて舌の位置を修正するためのトレーニングを併用します。
今回はその位置の修正法についてお話しします。


舌のトレーニング (舌の筋トレ)
舌を上方に上げる練習をチューインガムを使って行います。
��. なるべく弾力のあるガム(クロレッツガムを使用しています)を使います。
��. 柔らかくなるまで噛んでもらい、舌の先にガムを丸めて乗せます。
��. 舌の先端を上アゴ(口蓋)に付け、さらに舌を上アゴに押し付けます。ガムの広がり状態をチェックし、指導していきます。




ガムトレーニング例


治療前: ガムが上アゴの前方部のみ押されている。舌を上に上げる力がまだ、ありません。



治療中: ガムが上アゴの広い範囲に広がってきた状態。舌が大分、上に上がってきました。舌の先端だけでなく、後方部も上アゴに付けることができるようになっています。








矯正装置とガムトレーニングを併用した治療例


治療前:指しゃぶりの癖と舌が前方へ突出することにより、前歯が咬み合いません。



治療後:上下の前歯が咬み合いました。 (矯正装置+ガムトレーニングによる矯正治療)

2012年3月6日火曜日

歯と健康のための豆知識その7 舌の位置と歯並び-2

舌の位置が及ぼす歯並びの異常

前回、舌の位置が歯並びに関係することをお話ししました。
舌は日常生活の中で物を咬む時、飲み込む時やおしゃべりする時など、歯の内側に当てながらその役割を果たします。
通常、舌が上方にある場合、上の歯は舌によって内側から外側(横)、前方に押され、上アゴや歯列の成長発育が促されます。それによって正常な歯並び、咬み合せが獲得されていきます。
しかし、舌が下方に位置している場合には様々な歯並びの形でその影響が現れてきます。
主な3種類の歯並びを例に挙げます。


反対咬合(受け口)

舌が下方にあるため、舌によって内側から下の前歯を外側(前方)に押し出す力が働く場合があります。それにより、下の歯は前に押し出され、反対咬合になります。




開咬 (前歯が空いている咬み合せ)

舌が下方にあるため、舌が上と下の間に位置する場合があります。
それにより、前歯は生えようとしても舌によって抑えられてしまい、上下の前歯が重ならない状態になります。
��この歯並びは指しゃぶりとも関係しています。)





出っ歯

舌が下方にあるため、上の歯を内側から押しません。
それにより、上の歯並びは前歯から奥歯に連なる形が通常のU字型がV字型(歯列が狭くなる)になり、前歯を前に押し出し、出っ歯になります。



2012年2月26日日曜日

新しい顎関節症治療の講演会に出席

"新しい顎関節症の治療"に関する講習会に出席しました。
とても効果的な治療法と感じましたのでこの場で少しお話ししたいと思います。

顎関節症とは口が開けにくい、アゴの関節が痛いなどの症状があり、会話や食事がしにくくなる場合があり、子供よりも大人の方、それも女性が多く発症するようです。
治療は通常、歯科医院や大学病院で行います。


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多くの場合、上の歯にマウスピースを装着し、アゴの筋肉への負荷を軽くする方法が処置されます。
さらに より効果的な治療法が開発されました。
それは多くの顎関節症の原因は冷え、緊張姿勢、精神的なストレスなどから来る筋肉の循環障害であり、その治療にはマッサージ、ストレッチや体操など運動を取り入れる方法です。
現在、この方法を取り入れているのは日本歯科大学附属病院、顎関節症診療センターのみのようです。

顎関節症の原因
冷え、緊張姿勢、ストレスなど

治療法
マッサージ、ストレッチ、体操、カウンセリングなど

2012年2月20日月曜日

睡眠歯科医学会講演会に出席

睡眠と歯科に関する講演会に参加してきました。
最近話題になっている睡眠時無呼吸症と歯科治療に関わりについて様々な分野(精神神経科、耳鼻科、小児科、歯科)のドクターの講演があり、特に"子供たちの睡眠"について話しあわれました。
子供たちにとって"適切な睡眠"は成長発育にとても大切なことです。睡眠の妨げによって心も身体にも影響を及ぼし、それらの事柄が科学的に証明されています。
その原因のひとつとして歯並びや咬み合せの問題も取り上げられています。
我々,矯正歯科専門医は歯並びを綺麗にするだけでなく、子供たちの健やかな成長のためにも役立つべきであると強く思った一日でした。


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2012年2月16日木曜日

歯と健康のための豆知識 その6/舌の位置と歯並び-1

舌の位置?なんて、気にしたことなんかないと思います。
しかし、舌の位置と歯並びや咬み合せとはとても深い関係があります。

皆さん、今、舌はお口の中のどこにありますか?
上アゴの内側に付いていますか?その位置が舌の正しい位置です。
しかし、何らかの原因で舌がいつも下方に下がった状態になる場合があります。例えば上下の歯の間や下の前歯の裏側にある場合は舌が下方に下がった位置あることを意味しています。

舌が下方に下がる主な原因
��.アレルギー性鼻炎などにより慢性的に鼻が詰まっている
��.扁桃腺がよく腫れる
��.舌の裏側にある帯(舌小帯)が長い

��,2の原因は鼻での呼吸(生理的な鼻呼吸)では息が苦しいため、口で呼吸(口呼吸)をするようになるからです。口呼吸をする場合、舌が上方にあると息がしにくいために舌を下方にずらして呼吸をします。

��の原因では舌が動きにくく、上の方へ伸ばしづらい場合があります。

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舌が下方にあるためにいろいろな種類の歯並びに影響を及ぼします。
次回はその例を示しながら舌の位置が歯並びや咬み合せに及ぼす影響について解説します。

2012年2月6日月曜日

歯と健康のための豆知識 その5/指しゃぶりと歯並びについて

指しゃぶりは乳児にとって発達過程の生理的な行為であり、全く問題ありません。通常、成長とともに遊ぶ時間が長くなるにつれ、昼間の指しゃぶりは頻繁ではなくなります。眠い時、退屈な時や夜間のみとその時間は次第に短くなっていきます。
しかし、3歳~就学児になっても指しゃぶりを昼間でも頻繁にやり、指にタコができていたりと長時間の指しゃぶりが継続していると歯並び、咬み合せまた、発音にも影響がでてきます。
親御さんがお子さんにやめさせるように注意してもなかなかやめない場合もあります。そんな時には小児歯科や矯正歯科にご相談ください。早い時期にやめれば、歯並びは自然に治る場合もあります。


指しゃぶりと歯並びについて

2012年1月12日木曜日

歯と健康のための豆知識 その4/歯の数が不足している子供が増えてきた?

通常、大人の歯(永久歯)は全部で何本あるかご存知ですか?
上下合わせて28本あります。(親知らずは除きます)

しかし、最近、大人の歯が全て生えそろわない"先天性欠如歯"のある子供が約1割(10.1%)いることが小児歯科学会の大調査でわかりました。学会としては"相当多い"という印象のようです。
歯の欠如は咬み合せや歯並びが悪くなることに繋がります。欠如が多いのは下アゴの2番目の歯(側切歯)と5番目の歯(第2小臼歯)です。

永久歯のない場所ではしばらくは子供の歯(乳歯)で咬むことはできます。しかし、歯の根が大人の歯に比べて短いことや年齢とともにその根も吸収し、やがては自然に抜け落ち、その部位には歯がなくなりスキ間ができてしまいますので何らかの歯科治療が必要になります。